【民法改正】敷金返還と原状回復のルールが明文化をわかりやすく解説(第621条、第622条2)

どうも皆さんこんにちは!
大阪の賃貸管理会社に勤務しているみやへいです。

2020年4月よりおおよそ120年ぶりに民法が改正します。

今回の改正では約200もの項目が改正するとのことでこの業界に勤務していると、多少なりと影響を受けそうなので、私もせっせと勉強をしている状況です。

その民法改正の勉強をしている中で少し驚いたのが、現行の民法では敷金や原状回復について取り決めが無く、今回の改正でようやく明文化されるそうです。

今回は民法改正により、敷金と原状回復のルールが明文化されることについて書いていきたいと思います。

ちなみに民法改正についての本も沢山出版されていますので、業界の方は購入して勉強することをおすすめします。

とはいえ民法改正のすべてを理解するのは大変なので、不動産に特化した書籍の購入をおすすめします。

活字が苦手な方は漫画になっている書籍を読んで理解してもよいと思います。以下参考までにリンク貼っておきます。


これならわかる改正民法と不動産賃貸業

 


マンガでわかる! 民法の大改正

 

民法改正で敷金返還と原状回復のルールが明文化

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冒頭にも書きましたが、今回の民法改正で敷金返還と原状回復のルールが明文化されます。

以下では項目ごとにわかりやすく解説していきます。

敷金の定義が明文化された!(民法第622条の2)

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まず敷金ですが、これまでは判例や慣習的な所で一般に知れ渡っていたものの現行の民法では敷金の定義については特に定められていませんでした。

それが今回の民法改正で定義が明確になっています。

民法 第622条の2

(1) 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。

(一) 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき

(二) 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき

(2) 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

 上記(1)のカッコ書きの中に「いかなる名目によるかを問わず」とありますが、これは敷金という名目以外でも、同じ性質を果たす名目のものは敷金と同じ扱いになるということです。

これには保証金などが該当します。

同じく(1)で、「賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務」というのが、滞納家賃や原状回復費用などのことを指します。

一応(2)も噛み砕いて解説しておくと、

例えば、「敷金の預かりがある契約で借主に滞納がある場合」に、貸主からは敷金から滞納家賃分引いておくねー」と言うことができても、借主からは「家賃滞納している分敷金から引いてください」ということができないということです。

 原状回復のルールも明文化!(民法第621条)

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今回の改正で明文化された内容は以下の通りです。

民法 第621条

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。

ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。 

 見る限り、結構今まで慣習的に当たり前になっていたことが明文化されたなあという印象です。おそらく実務的には特に変わることは無いでしょう。

今回明確になったのは貸主と借主の原状回復費用の負担区分ですが、以下の認識でOKです。

  • 通常の使用によって生じた損耗、経年変化=貸主負担
  • 通常の使用を超えるような損耗=借主負担

原状回復費用の負担区分は国交省のガイドラインを参考にしよう

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原状回復については、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

という一定の基準を設けておりますので一般的にはこのガイドラインを参考にして解決を図ります。

先ほど、経年変化や通常の損耗は貸主負担で、通常の使用を超えるような損耗は借主負担と書きましたが、ガイドラインに書かれている例を取り上げると以下の通りです。

 通常の使用によって生じた損耗、経年変化

  • 冷蔵庫裏の黒ずみ
  • 家具(テーブル)を置いていることによって生じた、床(クッションフロア)についた家具跡
  • 畳やフローリングの日焼け
  • ポスターなどを貼った画鋲の跡
  • 取り外したエアコンのビス跡
  • 設備の寿命による故障

 通常の使用を超えるような損耗

  • 飲みこぼし等によって生じたカーペットのシミ
  • 鍵の紛失
  • 冷蔵庫下のサビを放置したことにより生じた汚損
  • 荷物を搬入、搬出する際につけてしまった傷やへこみ
  • 結露を放置したことによって生じたカビ
  • 通常のクリーニングで落ちない程の油汚れ
  • 重量物をかける為につけたビス跡、釘跡
  • ペットが引っ掻いた柱や襖などの破損
  • 網戸の破損
  • 喫煙によるクロスのヤニ汚れ
  • 煙草の焦げ跡

別の記事で、かなり詳しく原状回復費用について書いていますので、時間がある方は是非参考に見てみてください。

【必読】賃貸マンションの退去費用はいくらかかる?負担額の相場は?

まとめ

今回は2020年の民法改正によって、敷金返還と原状回復のルールが明文化されることについて記事にしてみましたが、いかがだったでしょうか。

この敷金と原状回復については今まで法律では定義が定められていなかったものの、これまでの判例や慣習などで実務的にルール化されていたこともあって、実際に今回の法改正で大きく影響することは無いと思いますが、明文化されたことによって借主にとって不利な契約にも対抗できたり、不正に敷金返還を拒む輩の抑止に繋がったりと、いい方向に繋がればいいなと思います。

それではっ!!

民法改正611条 賃借物の一部滅失による賃料減額については、

以下の記事をご覧ください。

【民法改正】賃借物の一部滅失による賃料減額割合をわかりやすく解説(第611条)

2020年民法改正で賃貸借契約において抑えておくべきポイント3つ

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