こんにちは!
大阪の賃貸管理会社勤務のみやへい(@miyahei2019)です!
私は普段仕事で、賃貸アパートやマンションをメインに管理業務を行っているのですが、
特に1月~4月の入れ替わりの多い時期、いわゆる 引越しシーズン にもなると退去立会いラッシュで、多い月は20件以上退去立会いをこなしたりします。
これだけの退去立会いの数をこなしていると、中には無茶苦茶な使い方をされている方もいるんですよね。
費用負担をお願いすると、
『どうせやりかえるんだから払う必要なんてないだろう』
と言われたり、
『普通補修費用って家賃に含まれているんじゃないんですか?』
なんて言われることが結構あったりします。
そう、退去時の費用負担のルールはわかりにくく、普段何回も引越ししている人なら別かもしれませんが、殆どの方は素人で、基本的なことがわかっていない方が多いので、トラブルになりやすいのです!!
例えば
- 自分が付けた傷じゃ無いにも関わらず、不当に高額な請求をされた
- 10年も住んでいたのに、クロス 貼り替え費用で何十万円も請求された
- キレイに使っていたのに敷金が返還されなかった
などなど。
上記に様なトラブルに発展するケースが実際によくありますし、
いつあなたがこのようなトラブルに巻き込まれても決しておかしい話ではないと思います。
今回はそんなトラブルを防止する為に、『賃貸物件の退去時にかかる原状回復費用』について詳しく書いていきたいと思いますので、この記事で知識を身に付けて余計なトラブルに巻き込まれないようにしましょう!
賃貸の退去時にかかる原状回復費用、「原状回復義務」とは?
賃貸の契約をすると、ほとんどの契約書の条文に原状回復義務について書かれています。
原状回復義務とは
原状回復義務の定義
原状回復義務は通常賃借人が負いますが、自然損耗や経年劣化は除きます。
契約書には上記のような内容こそ書いてあるものの、細かい負担割合等は載っていませんので、壁紙を破いてしまった。汚してしまった。なんて場合に『全部借りた側が貼り替え費用を負担しなければならないのでは?』と思われがちですが、そんなことはありません。
なぜなら、入居年数などによって負担割合が変わってくるからです。
その負担割合ですが、なにを目安にすればいいかというと、国土交通省が『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』なるものを制定しておりますので、そのガイドラインを基に負担割合を判断していきます。
少し長い名称でややこしいので、以下『国交省のガイドライン』と略して説明していきます。
国交省のガイドラインの位置付け
国交省のホームページには以下のように記載しています。
民間賃貸住宅における賃貸借契約は、いわゆる契約自由の原則により、
貸す側と借りる側の双方の合意に基づいて行われるものですが、
退去時において、貸した側と借りた側のどちらの負担で
原状回復を行うことが妥当なのかについてトラブルが発生することがあります。
こうした退去時における原状回復をめぐるトラブルの未然防止のため、
賃貸住宅標準契約書の考え方、裁判例及び取引の実務等を考慮のうえ、
原状回復の費用負担のあり方について、
妥当と考えられる一般的な基準をガイドラインとして
平成10年3月に取りまとめたものである。(以降何回か内容を修正しているそうです。)
引用:国土交通省
要は、契約の自由は原則ですが、契約に関して特段の取り決めが無い場合でトラブルに発展した際に基準になるものがないと、解決が困難になります。
そこで制定されたのが、『国交省のガイドライン』です。
私みやへいが勤めているような管理会社も、契約書と国交省のガイドラインを基に退去立ち合いを行って清算します。
ガイドラインでのクロスの負担区分、負担になるケースと負担にならないケース
退去立ち合いをして、どういった場合に賃借人の負担になるのでしょうか?
ここではクロス(壁紙)を例に負担になるケースとならないケースに分けてみましょう。
負担にならないケース (クロスの場合)
- 冷蔵庫やテレビの裏の黒ずみ
- ポスター跡(日焼けによって色が変わったもの)
- エアコンのビス跡
- ポスターなどを壁に貼った画鋲の跡
負担になるケース (クロスの場合)
- 台所の油汚れを放置したことによるシミ
- 結露やエアコンの水漏れなどを放置したことによって壁が腐食した場合
- 釘跡やネジ跡
- 喫煙による汚損
繰り返しますが、自然損耗や経年劣化等の通常の損耗は賃貸人の負担となり、通常の使用を超える損耗は賃借人の負担となります。
クロスの貼り替え費用の請求単位
クロスの貼り替え費用を請求する際にどこまでの単位で請求すればよいのか、これも論点になることが多いのですが、
ガイドラインでは、『㎡単位が好ましいが、1面貼り替え単位での請求が妥当』と書かれています。
耐用年数(減価償却)で負担割合が軽減
それでは、クロスを汚してしまったり或いは破ってしまったりした場合に、全額賃借人の負担になるかといえばそうではありません。
国交省のガイドラインの記載では、物の耐用年数を考慮して負担割合を決定することと定められています。
これを減価償却といいます。
ちょっと補足
基本的に資産の価値は年数が経過すればするほど下がるのですが、物によって耐用年数が異なります。
つまり、建物や設備、内装等の価値は年数が経過するにつれて減少していくのです。
例えば、クロスを汚した場合に、1年住んでいた場合と10年住んでいた場合では、当然に負担する割合が変わるということです。
そのクロスの価値ですが、6年経過後には賃借人の費用負担が1円になる割合で定められています。
例えば、6年の丁度半分にあたる3年経過後には50%の負担割合になります。
以下の表が、経過年数と負担割合の表で6年経過後にゼロに近くなっているグラフが、クロスの負担割合です。
例えば、入居3年でクロスを1部損傷させてしまい貼り替えが必要になった場合、
1面の貼り替え費用で15,000円かかったとして、15,000円 × 50% = 7,500円が賃借人の負担になります。
まとめ
基本的には、普通に使っていれば多額の請求が来ることは無いと思いますが、中には悪徳な不動産会社やオーナー、悪意が無くても勘違いしている人も多いので、退去負担のことで何かあった時は国交省のガイドラインを見てみてください。
『国交省 ガイドライン』で検索すれば、上位表示されますので、すぐに閲覧できます。
>>国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
尚、ガイドラインはあくまで参考にするものであって法律ではありませんので、契約の自由というものがあることを頭の片隅に入れておいてください。
そして、賃貸借契約書の特約事項や修繕についての条文に記載している内容もチェックしておいた方が良いでしょう。
いざ当事者になった時に、今回の記事の内容をほんの少し知っているだけでも対処方が変わってくるかと思いますので役立てていただけたら幸いです。
ではまた次回お会いしましょう!
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