2011年3月に東日本大震災が発生し、各地に大きな被害をもたらしました。
あの大災害から10年以上の月日が流れ、倒壊した住宅の撤去や、ひび割れた道路の整理など、復興はかなり進んでいます。
とはいえ、あれほどの甚大な被害ですから、まだまだ立て直しには時間と大きな財源が必要になります。
こうした復興の為の財源を集めるために、2013年から復興特別所得税の徴収が開始されましたので、個人の方で給与所得や譲渡所得などの所得税を納める義務のある方は復興特別所得税も併せて納める必要があります。
今回はそんな「復興特別所得税」について、
・不動産売却時にはいくらかかるのか?
などについて詳しく解説していきます。
不動産売却時にかかる「復興特別所得税」とは?
復興特別所得税は、2011年12月に公布された「東日本大震災からの復興のための施作を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」によって制定されました。
個人の方で所得税を納める必要のある人は、復興特別所得税も併せて納税しなければなりません。
もちろん不動産の売却においても、売却益が出るようであれば当然に納める必要があるという訳です。
復興特別所得税はいつまでかかる?支払う期間について
復興特別所得税の支払いについては、納税対象の期間が設けられています。
その期間は、2013年1月1日〜2037年12月31日までですので、期間内の所得に関しては復興特別所得税を納める必要があります。
復興特別所得税は基準所得税額に対して課税される
復興特別所得税は基準所得税額を求めてから、それに対して税率を乗じて計算します。
以下が基準所得税額を求める計算式です。
基準所得税額=譲渡所得×所得税率
譲渡所得とは不動産売却した際に得られた利益で、以下の計算式で算出します。
譲渡所得=譲渡価格ー(取得費+売却費用)
不動産売却時の譲渡所得税についてはこちらの記事が参考になります。
→収益物件売却時にかかる税金「譲渡所得税」とは?計算方法・基礎知識をわかりやすく解説
参考収益物件売却時にかかる税金「譲渡所得税」とは?計算方法・基礎知識をわかりやすく解説
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基準所得税がわかれば、あとはそれに対して税率をかけます。
復興特別所得税=基準所得税額×税率
これで復興特別所得税額を求めることができます。
復興特別所得税の税率は一律2.1%
復興特別所得税額を算出する際の税率は2.1%で計算します。
税率は所得の大小に関わらず、一律2.1%で決まってますので、先ほどの基準所得税額に対して2.1%を乗ずることで復興特別所得税の税額がわかります。
不動産売却時の復興特別所得税を計算してみた
復興特別所得税の計算方法、税率についてはご理解いただけたと思いますが、実際に不動産売却時にかかる復興特別所得税をシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションは以下の条件を仮定して計算していきます。
譲渡所得:1000万円
所有期間:5年以内(所得税30%・住民税9%)
まずは基準所得税額を求めます。
基準所得税額=1000万円×30%=3,000,000円
基準所得税額は300万円ということがわかりました。
続いてこの基準所得税額に復興特別所得税の税率をかけます。
復興特別所得税額=300万円×2.1%=63,000円
よって、上記のシミュレーションにおいては、復興特別所得税の額は63,000円となります。
まとめ
今回は『復興特別所得税』について、課税対象の期間や計算方法など解説しましたがいかがだったでしょうか。
まとめると、以下のとおりです。
- 復興特別所得税は2013年1月1日〜2037年12月31日までかかる
- 復興特別所得税は基準所得税額に対して課税される
- 復興特別所得税の税率は一律2.1%
復興特別所得税は不動産売却時に利益があれば課税される税制度ですが、所得に対してではなく基準所得税額に対して課税される制度なので、譲渡所得税などに比べるとそれほど大きな金額にはなりません。
それよりも、短期譲渡か長期譲渡で譲渡所得税の税率が大きく変わったり、居住用不動産の場合は使える優遇措置なんかも多いので、賢く節税をして手元に残る金額を最大化することが重要ですね。