不動産コンサルティングマスターってどんな資格なの?
不動産関連の資格の中には「不動産コンサルティングマスター」というものがあります。
宅建士のように、一般的に広く知られている資格ではありませんが、
不動産取引においてトラブルの多い昨今、不動産コンサルティングマスターの必要性が増してきているのが現状です。
今回はそんな 『不動産コンサルティングマスター』について、合格率や受験資格、資格取得のメリットなどに触れていきたいと思います。
本記事を見てわかること
- 不動産コンサルティングマスターの資格の概要
- 不動産コンサルティングマスターの資格取得のメリット
- 不動産コンサルティングマスターの難易度
- 不動産コンサルティングマスターの勉強方法
少しでも『不動産コンサルティングマスターの資格が気になっている』と考えている方は参考にしてください。
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不動産コンサルティングマスターとは?
不動産コンサルティングマスターとは、その名の通り不動産に関わるコンサルティングをすることができる資格です。
元々は、不動産コンサルティング技能登録者という資格でしたが、『公認 不動産コンサルティングマスター』に名称が変わりました。
資格取得者は、法律や経済、金融など幅広い専門知識や技能はもちろん実務経験を有していることが必要。
さらに、公益財団法人不動産流通推進センターに登録している人だけが活用できる資格とされています。
不動産コンサルティングマスターは、不動産投資や不動産の有効活用、相続など不動産に関わることに幅広く対応し、最善の策を提案するプロの専門家です。
そのうち40%~50%の人が合格している資格です。
不動産コンサルティングマスターを取得するメリットとは
不動産コンサルティングマスターは、資格を取得できるとコンサルティングを始め、幅広い業務で報酬を得ることができます。
不動産コンサルティングとして業務の報酬を得ることができる
不動産コンサルティングマスターになると、不動産に関連する業務だけでなく、コンサルティング業務としての報酬を得ることができます。
物件の有効活用や相続などコンサルティング業として幅広く携わることが可能です。
不動産会社やコンサルティング会社に所属することもできますし、個人でコンサルティング会社を開業することもできるでしょう。
不動産特定共同事業の業務管理者の資格も得られる
不動産コンサルティングマスターは、不動産特定共同事業の業務管理者になるための必要資格の1つとされています。
不動産特定共同事業の業務管理者の資格取得に一歩近づきます。
簡単にいうと不動産の共同投資のことで、事業主が複数の投資家から資金を集めて不動産の取引を行い、そこで得た収益を投資家に分配する事業のことだよ。
不動産投資顧問業登録規定における登録申請者または重要な使用人の審査基準を得られる
不動産コンサルティングマスターは、不動産投資顧問業登録規定における登録申請者または重要な使用人についての審査基準を満たす資格です。
また、不動産投資顧問業の判断業務統括者についても、国土交通大臣の登録を受けることができます。
金融商品取引法における不動産関連特定投資運用業を行う人的要件を得られる
不動産コンサルティングマスターは、金融商品取引法における不動産関連特定投資運用業を行う人的要件を得られる資格です。
金融商品取引法に関連付けされた資格であり、不動産関連特定投資運用業としての登録を受けていることが規定されました。
不動産コンサルティングマスターの資格取得は難しい?試験の概要について
不動産コンサルティングマスターになるためには、どれくらい難しいのか。
まずは、不動産コンサルティングマスターの試験に合格しても、5年以上の実務経験がないと登録することができません。
試験を受ける際には、必要な資格さえ所持していれば実務経験がなくても受験することができますが、試験合格後に登録する際には5年以上の実務経験がないと登録できませんので要注意です。
不動産コンサルティングマスターは、不動産流通推進センターが規則に基づき、国土交通大臣の登録を受ける登録証明事業です。
試験に合格して終わりではなく、実務経験も必須のためハードルの高い資格と言えるでしょう。
以下からは試験の概要についてもう少し掘り下げて解説していきます。
受験資格
受験資格として下記のいずれかに該当している必要があります。
受験資格
- 宅地建物取引士資格登録者で宅地建物取引業に従事している方、または今後従事しようとしている方
- 不動産鑑定士登録者で、不動産鑑定業に従事している方、または今後従事しようとしている方
- 一級建築士で、建築設計業・工事監理業などに従事している方、または今後従事しようとしている方
試験内容
試験内容は、択一式試験と記述式試験の2つがあります。
択一式試験の試験科目は事業、経済、金融、税制、建築、法律の6科目で合計50問の四肢択一式です。
記述式試験は、実務、事業、経済の必修科目3科目と、金融、税制、建築、法律の中から1科目選択する計4科目となっています。
記述式試験は、必須科目が実務、事業、経済と、金融、税制、建築、法律の中から1科目を選択します。
詳細は不動産流通推進センターのHPにも記載があります。
不動産流通推進センター
試験合格後も登録が必要
試験に合格した後は、不動産流通推進センターの登録を受ける必要があります。
登録時には下記が登録の要件になっていますので要注意。
登録の要件
- 宅地建物取引士の資格取得者であり、実務経験5年以上
- 不動産鑑定士の資格取得者であり、実務経験5年以上
- 一級建築士の免許取得者であり、実務経験5年以上
例年の試験日時や試験地について
令和3年の試験を例にすると、
WEBの申し込み期間は7月20日~9月17日で、試験日は11月14日(日)でした。
試験は毎年11月の第2日曜日に設定されるようです。
試験地は例年、札幌、仙台、東京、横浜、静岡、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、沖縄の12都市で実施されています。
新型コロナウイルスの影響で試験日時や試験地については変更になる可能性もありますので、受験を考えている人はこまめに不動産流通推進センターのHPを確認しておきましょう。
合格率、合格発表のスケジュール
近年の不動産コンサルティング技能試験の受験者数及び合格率は以下の通りです。
参照:(公財)不動産流通推進センター
令和2年度の試験では、受験者1223人に対して合格者数が529人と、合格率は約43.3%でした。
平成25年度の試験までは、概ね50%~70%程度の合格率でしたが、ここ最近の試験では40%台の合格率を推移しています。
※令和3年の試験では受験者数1170名に対し、合格者数は444名、合格率37.9%でした。
ちなみに宅地建物取引士は15%~18%程度、マンション管理士は7%~10%程度の合格率なので、それらと比べると一見簡単な資格なのかなとイメージしてしまうかもしれませんが、実は受験者のレベルが高い試験がゆえ、それほど簡単には合格できません。
前述しましたが、宅地建物取引士か不動産鑑定士、もしくは1級建築士の資格を所持しているなどが受験資格の要件になりますので、宅建士の試験のように「記念受験」で受けるような人が少なく、一定のレベル以上の人しか受けることができない試験の為、合格率で見るよりも難易度が高い資格といえます。
また、例年の申込受付期間は7月中旬~9月中旬で、試験は11月の第2日曜日です。
合格発表は1月上旬~中旬頃に(公財)不動産流通推進センターのホームページにて合格者の受験番号が公開されます。
※令和4年の試験概要が公開されていました。
参照:(公財)不動産流通推進センター
受験料、登録料、更新料について
不動産コンサルティング技能試験の受験料は例年31,000円(税込)でしたが、令和4年の試験では受験料31,500円(税込)と発表されていました。
試験合格後に登録をすると「公認 不動産コンサルティングマスター」の認定を受けることができますが、登録の際には登録料として16,000円(税込)が必要になります。
認定の有効期間は、登録年度の翌年から5年後の3月31日までで、更新の際には更新手数料として10,900円(税込)がかかります。
不動産コンサルティングマスターの勉強方法
比較的難易度が高い不動産コンサルティングマスターの試験ですが、合格するためにはどの程度の勉強量が必要なのでしょうか。
また、どのような勉強法がよいのでしょうか。
順番に見ていきましょう。
合格に必要な勉強時間
合格までの勉強時間は人によって違いますが、目安としては50時間~150時間程度の勉強時間が必要といわれています。
比較的短い勉強時間で合格できる試験ですが、受験要件として宅建士、不動産鑑定士、1級建築士のいずれかの資格を持っていることが前提条件ですので、これらの資格に合格してから期間が空いている場合は学び直しが必要な部分が多くなりますので、上記よりも多めの勉強時間を確保した方がよいでしょう。
過去問題集やテキストで独学
不動産コンサルティングマスターの試験は、しっかり勉強をすれば独学でも十分に合格が狙える資格です。
他のメジャーな資格と比べると、過去問題集やテキストの出版が少ないですが、(公財)不動産流通推進センターが紹介しているものを使って勉強を進めていくとよいでしょう。
通信講座を活用する
独学だと不安だという方は通信講座を受講する手段もあります。
他の知名度が高い資格のように民間の予備校などで講座が開校されている訳ではありませんが、(公財)不動産流通推進センターが「不動産コンサルティング入門研修」という通信講座を提供してますので、そちらを利用するとよいでしょう。
上記講座では、基礎から合格レベルまで体系的に学ぶことができます。
(まとめ)不動産コンサルティングマスターとは?資格の特徴とメリット
今回は『不動産コンサルティングマスターとは?難易度や受験資格、取得のメリットについて』 について記事にしましたがいかがだったでしょうか。
本記事のまとめ
- 不動産コンサルティングマスターとは、あらゆる不動産の活用において最善の策を提案するプロの専門家
- 不動産コンサルティングマスターは幅広い業務で報酬を得ることができる
- 受験する為には特定の資格が必要
- 登録するには実務経験が必要
- 合格率は40%程度と高めだが、受験者のレベルが高いので注意
- 受験料31,500円、登録料16,000円、更新手数料10,900円
- 資格取得で専門知識が身に付く
- 合格までに必要な勉強時間は50~150時間程度
- 独学でも合格可、心配なら通信講座を受けるべき
不動産コンサルティングマスターは、一般的にはあまり知られていない資格ではありますが、資格を取得すると不動産業界での仕事の幅が広がります。
受験条件や不動産流通推進センターへの登録はハードルが高いですが、試験そのものは特別ハードルが高いものではありません。
不動産の知識と技能を備え合わせた、プロ中のプロである不動産コンサルティングマスターを目指しましょう。