※当サイトはプロモーションが含まれます

法改正

【民法改正】賃借物の一部滅失による賃料減額割合をわかりやすく解説(第611条)

 

みやへい
どうも皆さんこんにちは!

大阪の賃貸管理会社に勤務している
みやへい(@miyahei2019)です。

 

2020年4月約120年ぶりに民法が改正しました。

 

その大改正ですがおおよそ200もの項目が改正されるそうで、

賃貸の契約においても今回の民法改正は大きな影響を及ぼします。

 

今回はその中でも特に重要な改正部分

民法第611条「賃借物の一部滅失等による賃料の減額・解除」について解説していきたいと思います。

 

【民法改正】賃借物の一部滅失による賃料減額割合をわかりやすく解説(第611条)

f:id:miyahei:20191206235858j:plain

 

早速ですが改正前と改正後の条文を見比べてみましょう。

改正前

(1)賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。


(2)前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

 

改正後

(1)賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。

(2)賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

 

変更になったというよりかは、付け加えられたといった感じで

より具体的でわかりやすくなった印象です。

 

賃借物の滅失とは?追記された使用及び収益できなくなった場合とは?

f:id:miyahei:20191207000426j:plain

 

改正前後の条文を見比べてみると違いがわかるかと思いますが、

改正前の条文だと、

「賃借物が一部滅失した場合にオーナーに対して賃料の減額請求ができて、賃借した目的を達成することができない場合には契約の解除をすることができる。」

といった内容ですが、

なんだか抽象的でわかりにくいです。

 

 そもそも滅失という言葉自体あまり馴染みが無いですよね。

滅失とは

(1)ほろんでなくなること。

(2)法律で、災害によるか人の行為によるかを問わず、物がその物としての物理的存在を失うこと。

出典:goo辞書

 

今回の改正では滅失に加えて

「その他の事由により使用及び収益できなくなった場合において」

とありますが、この条文における使用及び収益できない場合というのは、

通常の生活ができないような状態を指します。

 

例えば「真夏にエアコンが故障して住める状態では無い」とか、

「雨漏りがひどく寝ることさえままならない」とか、

「真冬なのに給湯器の故障でお湯が出ずお風呂に入れない」などといった場合が該当します。

 

滅失という表現だけではカバーしきれなかった部分を補足しました。

 

あまりにも状況が酷く住むことさえままならない状態だと、契約を解除することができます。

 

今までは減額の請求ができた。これからは当然に減額される

f:id:miyahei:20191207225041j:plain

 

あとは大きなポイントとして、改正前の条文だと、

滅失した部分の割合に応じて賃料の減額を「請求することができる」とありましたが、

改正後は使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて賃料が「減額される」となりました。

 

そうです。

これからは借主から請求しなくても当然に減額する必要が出てくるということです。

 

 賃料減額割合は日管協のガイドラインを参考にしよう

 

前述で、民法の改正によって賃借物に設備不良などで生活に支障をきたすような場合には

当然に賃料を一定割合減額するとありますが、

その割合についてはどうやって決めればよいのでしょう。

 

そこで日管協(公益社団法人日本賃貸住宅管理協会)が、

「サブリース住宅原賃貸借契約書(改訂版)」にて、

以下のように設備等の不具合による賃料減額のガイドラインを盛り込んでおりますので、こちらを参考にすればよいかと思います。

 

f:id:miyahei:20191206000815j:plain

 

計算方法としては

賃料×賃料減額割合×修理までにかかった日数の日割-免責日数=減額すべき金額の目安 

となります。

 

【例】トイレが使えなくなって修理までに3日間かかった場合(賃料10万円)

賃料(10万円)×減額割合30%×修理までにかかった日数3日(1ヵ月30日の場合1日あたり1,000円なので3日間で3,000円)-免責日数(1日1,000円)=2,000円

 

 

そうです。

オーナーからすると対応が遅れれば遅れるほど、

入居者に対して補填する金額が増えることになりますので、よりスピーディな対応が求められます。

 

設備の不具合があれば即管理者に連絡しよう。借主の通知義務(第615条)

f:id:miyahei:20191207225137j:plain

 

民法第615条では以下のように規定しています。

賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

出典:Wikibooks

 

例えば雨漏りがあったとして、連絡するのが面倒で3ヵ月くらい放置した後に管理者に連絡した場合、3ヵ月の期間に対して家賃の減額が要求できるかというとそうではありません。

 

むしろ連絡を怠ったことにより被害が拡大してしまった場合には、借主が責任を負うケースもありますので注意が必要です。

 

上記規定にあるように、発覚した時点で必ず連絡しましょう。

 

 まとめ

 

今回は民法改正によって条文が変更になった民法第611条

「賃借物の一部滅失等による賃料減額」について記事にしましたがいかがだったでしょうか。

 

重要ポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 生活に支障をきたすような不備があった場合、賃料は当然に減額される。
  • 日管協がガイドラインを制定している。
  • 借主は通知義務がある

 

 なんといっても大きく変わった点は、

これまでは生活に支障をきたすような雨漏りや設備の故障なんかがあっても

「直すからちょっと待ってね」

で数日放置しても済んでいたのが、今後は早急な対応が求められるようになる点です。

 

また、ガイドラインには明確な賃料減額割合が記載されておりますので、

オーナー、借主ともに理解しやすくトラブルの防止にも繋がるなと感じました。

 

この知識を頭に入れておくことで、実際に被害にあった時にオーナーに減額の提示をすることができるので覚えておいて損はないと思います。 

 

今回の改正で、入居者との取引が円滑に進めれるようになればいいですね。

 

民法改正による敷金返還と原状回復のルールの明文化に関しても記事にしてますので、こちらもご参照ください。

 

 

 

 

 

  • この記事を書いた人

みやへい

不動産管理会社勤務/月間約5万PVのブログ『みやへい不動産』運営/ 不動産・暮らしに役立つ情報中心に発信しています/宅地建物取引士/2級FP技能士/3児の父は育児も奮闘

-法改正
-

© 2024 みやへい不動産 Powered by AFFINGER5