2020年民法改正で賃貸借契約において抑えておくべきポイント3つ

みなさんこんにちは!
大阪の賃貸管理会社に勤務しているみやへいです!!

不動産業関係者ならご存じだと思いますが、2020年4月~民法が約120年ぶりに改正されます。

今回の改正では約200項目ほどの条文が見直され、賃貸の契約においても大きな影響を及ぼします。

そんな民法改正による賃貸事業への影響について網羅的にまとめていきたいと思いますので、是非参考にしてみてください。

 2020年民法改正で賃貸借契約において抑えておくべきポイント3つ

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民法改正で、賃貸事業に特に影響が出るのが以下の3つと言われております。

POINT
  • 賃借物の一部滅失による賃料の減額義務
  • 敷金返還と原状回復のルールが明文化
  • 連帯保証人への情報提供義務と極度額の設定が義務化

 細かい改正でいうともっとありますが、実務的に影響が出そうなのがこの3項目と言われておりますのでとりあえずこれだけ押さえておけばOKです。

順番に解説していきたいと思います。

賃借物の一部滅失による賃料の減額義務

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 以下のように民法第611条が改正されました。

改正前

(1)賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。

(2)前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる 。

改正後

(1)賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。

(2)賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

すこし難しく書いてあるので、わかりやすく説明する為に具体例を挙げると

例えば

「真夏で室内に熱がこもりサウナ状態の中、エアコンが突然壊れてしまった」

となるととても住めたものでは無いと思います。

そういったことが起こった場合にこれまでの民法、判例だと、迷惑を被った割合に応じて賃料の減額を請求できることにはなっていましたが、改正後には、請求できるのではなく当然に減額されることになります。

尚、日管協(公益社団法人日本賃貸住宅管理協会)が「サブリース住宅原賃貸借契約書(改訂版)」にて、設備等の不具合による賃料減額のガイドラインを制定しておりますので、今後はこちらを参考に減額することになるでしょう。

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詳しくは以下の記事で詳しく書いておりますので参考にどうぞ

敷金返還と原状回復のルールが明文化

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これまで敷金や原状回復については、慣習的に知れ渡っていたものの、それらの定義については特に法律で規定されておりませんでした。

そこで今回の改正で、敷金の返還義務と原状回復についてのルールが明文化されることになりました。

 敷金については以下のように規定されます。

民法 第622条の2

賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。

(一) 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき

(二) 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき

(2) 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

原状回復については以下の通り規定されます。

民法 第621条

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

私たち業界人からするとごくごく当たり前のことですが、賃貸借契約が終了し、借主が物件を明け渡ししたら、家賃滞納や原状回復費用を差し引いて、敷金は必ず返還しましょうといいうルールが制定されました。

尚、退去時の原状回復についても、これまで慣習的に当たり前でしたが、借主は、自然損や経年劣化を除いた損耗(通常の使用を超えるような損耗)については、原状回復の義務を負うといった条文が制定されました。

今までに規定されていなかったのが不思議なくらいですよね。

詳しくはこちらで解説してます。

連帯保証人への情報提供義務と極度額の設定が義務化 

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以下条文が制定されました。

民法 第465条の10

(1) 主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。

(一) 財産及び収支の状況

(二) 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況

(三) 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

(2) 主たる債務者が前項各号に掲げる事項に関して情報を提供せず、又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者がその事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み又はその承諾の意思表示をした場合において、主たる債務者がその事項に関して情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができる。

(3)前二項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用しない。

民法 第465条の2

(1) 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。

(2) 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。

(3) 第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。

事業用かつ個人が連帯保証人なる契約に限りますが、今回の改正で、契約者が連帯保証人に対し、財産や収支の状況を事前に説明しておく必要が出てきます。

もしこれを怠ると保証人の契約自体が解除になる可能性があります。

また、これまで賃貸借契約における連帯保証人においては、保証する額について特に上限がありませんでしたが、今回の改正では極度額(保証する額の上限)を定めなくてはいけなくなりました。

極度額を定めていない保証契約については無効となります。詳しい内容はこちらで記載しております。

まとめ

今回は2020年の民法改正によって、不動産賃貸において受ける影響について記事にしましたがいかがだったでしょうか。

改正のポイントをおさらいすると以下の通りです。

POINT
  • 賃借物の一部滅失による賃料の減額義務
  • 敷金返還と原状回復のルールが明文化
  • 連帯保証人への情報提供義務と極度額の設定が義務化

 実務的に影響が出そうなのは基本的にこの3つくらいなので、とりあえずこの3つだけ頭に入れておけばOKです。

その中でも特に「賃借物の一部滅失による賃料減額」はオーナーにとっては放置することのリスクを伴うことになる為エアコンや給湯器の故障があった際にはより迅速な対応が求められるでしょう。

それではまたお会いしましょう!!

 

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